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【ブログエッセー】溺愛する茶器で15時のお茶。京都・森里陶楽のティーセット。【カタル/シス】

シリーズ, …
好きな茶器でお茶を飲む時間

 自分だけのとっておきの茶器に、じっくり淹れたお茶を注ぐ。
 こんなに簡単でいて、これ以上に至福感を感じられる時間は、意外にも見つけるのが難しい。だから、心がモヤッとするときの特効薬として、お茶を入れる時間は格別。

私の溺愛茶器「京都・森里陶楽」

 私が手持ちの中でも一番大切にしている茶器は、京都旅行のとき、森里陶楽さんで買ったティーセットだ。
 この茶器は、いつ使っても気持ちがぐっと上向く。少なくともこの茶器に触れている時間は、視界の中が美しさで満たされる。

 「三島」という陶磁器の手法で、この繊細な模様を描いているらしい。技術的なことには明るくないが、この芸術作品をひとつつくりあげるということに、どれだけの熱量がこもっているかは想像できる。

 実はティーポットの方は、先っぽを破損してしまった。どんなに大切に扱っていても、食器は割れてしまうことがあるものだと、まだ幼かった私はその日に悟って、少しだけ泣いた。金継ぎでくっつけられないかとずっと思案しているが、この茶器が一時期でもどこかへ行ってしまうのが悲しくて、中々修理に出せない。

 お茶を注ぐと美しい水色が浮かびあがり、それと同時に三島の華やかな紋様がよりいきいきと、カップの中にたちのぼる。

 私はこの器の、”華やかさ”と”侘び寂びの心”が共存しているようなところが好きだ。
 一見煌びやかに見せかけて、じっくりと目を凝らすほど、手仕事の温もりや色むら、緻密な和柄、渋さを残した色使いなどの奥行きが見えてくる。
 絵柄が繊細なので、茶渋が気になってきてもこすったりして洗うことはできない。でもそれはそれで、時間をかけてどんどん私だけの器になっていくような気がして気に入っている。

今日のお茶

 今日の気分で「ダージリンの2023年ファーストフラッシュ、マーガレッツホープ農園のスペシャルチャイナDJ-7」を選んだ。すっきりと緑茶のような爽やかさの中にややフルーティな芳香が加わって、一息抜くのにぴったりのお茶だ。

 この茶葉を販売しているNAVARASAというお店は、上質な茶葉を作る農園と契約して、おもにダージリンを輸入している。

 どの茶葉を選んでも間違いないから、私は自分用よりも贈答品として買うことが多いが、このときは贅沢にも自分のためにプレゼントをした。そんな日のそんな私によるチョイスがあって、今日の私はカタルシスを感じられている。

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