はじめに
こんにちは。慶應義塾大学通信課程で学んでいる野原たんぽぽです。
今日は、「レポートの書き方を、自分で学ばなければいけない人が読んでおきたい本4選」と題して、レポートの書き方本のおすすめを紹介します。
私も実際にお世話になっている本ばかりでどれも良書なので、ぜひレポートの書き方がわからず困っている方の参考になれば幸いです!
また、最後にはおまけで「大学生として、知的にものを考えるスタート地点に立つための本3選」も軽く紹介するので、お読みいただければ嬉しいです。
とにかく買っておくべき2冊
①『レポート・論文の書き方入門 第4版』
なぜなら、入学選考で必要な「テキスト批評」のやり方が詳しく書かれているからです。
おすすめポイント
- 初心者向けに、至高にして最高の一冊
- レポート・論文・書評の取り組み方がメイン
- 自己流になりがちな「注の付け方」も超詳しい
- 「見本レポート」が一本載っている
- 薄い!100ページ強の薄さ!
個人的には、「レポートの書き方が全然わからない〜」という方は、本書のように「見本レポート付き」のHowTo本を最低1冊は購入すべきだと考えます。
私の周りでは、「レポート」という謎の存在がなんなのか掴めなくて苦しくて、何もせずに入学から数ヶ月、1本もレポート提出ならず…という方が少なからず見受けられます。
このようなパターンの人は、「レポートがどのようなものなのか」を想像できるか否かによって、その後の筆の進み具合が変わるでしょう。
「あ、文章の日本語はこのレベルでいいんだ」とか、「章立てはこのようにするんだ」とか、「4,000字だとだいたいこのくらいのことが書けるんだ〜!」みたいに、色々な発見があると思いますよ。
②『学生による学生のための ダメレポート脱出法 (アカデミック・スキルズ)』
おすすめポイント
- 学生が学生のために書いた、学生目線の一冊
- 「時間がなくてもうまくやろう」というスタンスなので、情報が凝縮されている
- 「ダメレポート」の例を見ながら、それを改善していくパートがある
- 講義やノートの取り方まで指導がある
- ゼロorマイナスから始めますって人はこれ
本書の「はじめに」では、以下のようなことが書かれています。
特に、以下のような人たちにおすすめです。
慶應義塾大学日吉キャンパス学習相談員 著『アカデミック・スキルズ 学生による学生のための ダメレポート脱出法』、慶應義塾大学出版会、2014年、5頁
・レポートに取り組んでみたものの、うまく進まない。
…(中略)…
・基本的に欲張りである。
「基本的に欲張りである」人のためのHowTo本…!
ユーモアのある表現でもありつつ、学生に対して親身な表現でもあると感じます。なぜなら、学生はレポート以外にもやらなくてはいけないことがたくさんあるから。それらに対して欲張りであることは、学生の本分です。
だから学生目線のTipsやアドバイスが盛りだくさん。例えば…
第1部第2章 提出まで時間がない!最低限やるべきことは?
慶應義塾大学日吉キャンパス学習相談員 著『アカデミック・スキルズ 学生による学生のための ダメレポート脱出法』、慶應義塾大学出版会、2014年、8-9頁
第1部第4章 他人の考え(引用)だらけ!どうしたらいい?
第1部第5章 「自由に論ぜよ」って言われても、一体どうすればいいの?
第2部第2章 スケジューリングの方法
レポートを書いているときに起こりがちなパニックを、一つずつすくいとって丁寧に回答してくれています。
1冊目に紹介した本よりも口調も優しいので、サクサク読んでいけると思います。
あとは、先ほどのおすすめポイント③でも紹介したように、「ダメレポート」の例と、それを直していく過程をいくつか読むことができます。この「ダメなものを直す」というプロセスを体験することで身につくことも多いと思うので、レポート初心者の方には心からおすすめしたい一冊です。
実はレポートの要!
「資料収集」を教えてくれる1冊
超精鋭と言われる慶應メディアセンターの司書さんたちが書かれた『資料検索入門』で、周りから一歩も二歩も抜きん出ましょう!
③『資料検索入門―レポート・論文を書くために (アカデミック・スキルズ)』
おすすめポイント
- 「レポート・論文のための」情報検索についてを網羅
- いかにして大学図書館を使いこなすかが書かれている
- 大学以外の公共図書館などの使い方も詳しい
- ネットでの論文検索方法まで教えてもらえる
- 著者陣がマジでプロ
「参考文献?手当たり次第関連しそうな本を図書館で借りればいいんでしょ?」
レポート初心者の中には、そう思っている方もいらっしゃいませんか?
私は、そうは思いません。なぜなら「手当たり次第関連しそうな本を図書館で借りればいいんでしょ?」をして、失敗した苦い経験が何度もあるからです。ひどい時はレポートのために20冊も30冊も借りられる枠をフル活用して借りたのに、実際に使える資料はたったの3冊ぽっち…なんてことも。
それを克服するために私が始めたのが、「資料の探し方」を身につけることでした。
私は慶應通信生なら視聴できる「通信教育生のための資料の探し方」を最初に試聴して学び、資料検索の奥深さに感動しました。そして、さらにこの『資料検索入門 レポート・論文を書くために』を購入して、より深く学ぶことができたのです。
そういえば慶應の文学部を卒業された先輩で、図書館・情報学を専攻された方とお話しをしたことがあるのですが、この専攻は「文学部3大エグ専攻」と呼ばれているらしく、他の専攻よりも修了がかなり厳しいらしいです。そんな専攻を経て、さらに図書館・情報学の博士課程まで進んでいる方々(市古みどり・上岡真紀子)がこの本の執筆者です。
図書館の司書さんのことを、本屋さんのスタッフのような感覚で見ている方も少なくないと思うのですが、彼らは情報収集のプロなので、特に卒論などの時期になったら積極的にコミュニケーションをとっていくべき存在だと思っています。
そんな人々からたったの¥1,320で情報検索についてを学べるのであれば、これほどお得な本はない…と私は思っています。
レポートのロジカルさをブラッシュアップ!
「パラグラフライティング」を学べる1冊
④『小論文・レポートの書き方
パラグラフ・ライティングとアウトラインを鍛える演習帳』
小論文・レポートの書き方 パラグラフ・ライティングとアウトラインを鍛える演習帳 (人の森の本)
「パラグラフ・ライティング」という文章の書き方をご存知でしょうか。
パラグラフは日本語に訳すと「段落」ですが、日本語の意味する段落とパラグラフ・ライティングのパラグラフは少し異なります。パラグラフ・ライティングでは、「1つのパラグラフ」を「1つの考えのまとまり」として、パラグラフをつなげていくことで文章を作っていきます。レポートや論文は最終的には「パラグラフのかたまり」ということです。
著者の野田さんは学生時代英語圏で教育を受けられていますが、オーストラリアの大学院での留学生向けの補講で、なんと「アメリカの小学生向けのパラグラフ・ライティング教材」を使用されたというエピソードを書かれています。英語圏ではパラグラフ・ライティングは「書き方」の基本であるということですね。
おすすめポイント
- パラグラフ・ライティングを簡単に学びこなせる
- 取り組みやすいレベルの演習問題ですぐに鍛えられる
- 論文作成に欠かせない「アウトライン」という考え方についても学べる
- 徹底的にロジカルに書くことを叩き込んでくれる
- Word(ソフト)のアウトラインモードの使い方が学べる
ここまで書いてきましたが、「パラグラフ・ライティングとはなんなのか」、実際にやってみないとうまく掴めない方もいらっしゃるかもしれません。最後に、著者の言葉を引用してみますので、感覚的に気になった方はぜひお手に取ってみてください。
「パラグラフは、一つの考えのまとまりを示す概念で、論理構造を示すための単位です。文章の読みやすさで長さを決めるものではありません。パラグラフ一つだけ取り出しても、論理的に意味が完結するものです。つまりパラグラフ自身がミクロレベルで論文のような構造を持ち、一つの主張の塊なのです。論文やレポートや論理的に記述するものですから、段落だけではなく、パラグラフを使って構成します。」
野田 直人『小論文・レポートの書き方 パラグラフ・ライティングとアウトラインを鍛える演習帳』、人の森、2015年、27頁。
おまけ
学生として、知的に物事を考える
スタート地点に立つための本
最後に、普段からものを考えたり、勉強したことを頭の中でつなげていくためのヒントとして、非常に役に立った3冊を紹介します。
『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』
10代の後半に初めて読んだのですが、これは私の思考回路を大人仕様に組み替えてくれた本といっても過言ではありません。20代後半に差し掛かった今でも、暇があれば読み直して、行き詰まったときなどのチューニングに使っています。
「『知的』に考えるってなんだろう?」「批判的に読む・考えるって何?」「問いを立てるってなんだろう?」
このような質問に、明確に答えることができますか?もし難しければ、『知的複眼思考法』はそれに対する答えをとても鮮やかに示してくれます。こういった考え方を自分の頭の中にインストールできれば、学問だけでなく仕事にも役立つことは間違いなしです。
『「科学的思考」のレッスン 学校では教えてくれないサイエンス』
「理論」と「事実」はどう違うのか?「仮説」とは、それを実証するためには何をすればいいのか?…
このような問いに対して、過去の科学者たちが巻き起こした論争やエピソードを交えながら学ぶことができます。
また、「なぜ我々は科学リテラシーを学ばなくてはならないのか?」という根本的な問いにまで納得のいくアンサーが示されています。
著者の戸田山先生は『新版 論文の教室』や『教養の書』、『論理学をつくる』など、大学生なら誰もが通っていくような数々の名著の著者でもあります。どの本も、テーマはわりと堅いのに口調がとってもユーモラスで大好きです。
『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』
言葉として論理的につながれば、それは「因果関係」だと主張できると思っていませんか?
「実はそんなことは全然ないので気をつけましょう、間違えないようにするにはこんな緻密な研究をしていきましょう」、ということが、とても易しく書かれています。特に、経済学・統計学・社会科学系分野を主に学んで行く方には必読書ではないかと思います。
「データ分析」と聞くとなじみのない方には少しハードルが高いかもしれませんが、この本は初学者にもわかりやすく書かれているので読みやすいです。
おわりに
レポートに役立つおすすめ本4選、いかがでしたでしょうか。
レポートは、正直にいうと、こういった本を読んで知識をつけるよりも、手を動かしながらまずは1本仕上げてみるほうが得るものが大きいです。ですがより洗練された、素敵なレポートを書くためには、本でプロの力を借りながら学ぶに越したことはないでしょう。
特に通信大学の生徒は、通学の大学生よりも手厚いレポート指導がないため、戸惑うことも多いと思います。でも最初はできなくて当たり前です。さながら18歳の気持ちで、コツコツ頑張ってみましょう。
またそのうち「論文執筆におすすめ」の本なども紹介するかもしれません。その際はぜひご覧ください!